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島田雄三の思い
 
「激流の門」瀧川父子物語57
 後藤新平と瀧川辨三、その地下道がどのようにつながっているのか。これには、鈴木と言っても、きっと住友総理事の鈴木馬左也が鍵を握っているのだろう。推測は着いたが、一体どのようにつながっているのだろうか?儀作には見当がつかなかった。どうやら辨三の周辺には、あちらこちらに地下道が張り巡らされており、その中心部に座っているらしい。もしかして、それは頭山満を介してかも知れなかった。台湾と言えばもともと清国である。中華であれば、それは華僑筋ではないのだろうか。ならば、麦彰祥、呉錦堂あたりとつながっているのであろう。客人の目的である後藤との橋渡し、肝心の話に目途が着いたのだから、にわかに関係者の間に和やかな空気が流れた。よねと辨三は歳は一つ違い。同じ嘉永の生まれである。このころに、黒船が浦和沖にやって来たのである。急転動地、国はにわかに揺れ始め、やがては激震とあいなった。不気味に揺れが収まるやいなや、たちまち大蛇が目を覚まし、二五〇年の泰平の世を粉々に打ち砕いたのである。そんな時代の申し子のような辨三とよね、くしくも神戸の地でまみえることになるのである。「娘が大変お世話になり」とよねが後援する豊子の女学校の話となった。「いや、さすがに闊達でいらっしゃいますね」と感心し、おもむろに儀作に向うや、「大変でございますよ」と、縁なし眼鏡の中の目を剝いた。その頃の奥方のほとんどは、お歯黒に染めていたが、よねは違っていた。豊子の母のいちも同様であった。豊子はもちろん新時代の女子であった。「知っておられますかね?」とよねが尋ねた。「多分」と答えたのは、なぎなたのことであろうと思ったからだ。「英語が堪能なのですよ」と返ってきた。そんなことはおくびにも出さない。「去年、ワシントンから教育使節団が見えられたとき、通訳をなさったのですよ」という。そういえば、英語が得意でない辨三の秘書を務めているらしいが、『どうせ、文通程度なんだろう』と思っていたのである。きっかけは魔訶面白いものである。やがて辨三の配慮もあって、鈴木は『天下の鈴木』に昇り詰めるのである。勿論しばしの時間は必要であったが。そして帝国燐寸などを通じて、瀧川と鈴木の太い紐帯が出来上がることになるのである。
 工場に、夜鍋の臭いが漂ってきた。香港に送る梱包作業が一段落ついたのである。「おい、寄って来いよ」と植木の声が響いた。その中心に儀作がいた。「ご苦労さん。ご苦労さん」とねぎらった。「あれ、狐さんもはいっているよ」そこには班長も女工も何もないのである。かねは家に帰らねばならない。幼い子を背たらって、「貰ってやら」と、うどんの袋を下げた。「まさか、儀平のおごりじゃないだろね?」と、まるで『おごりなら受け取りたくない』といいたそうだ。「みんなよくやった」と植木はねぎらいの言葉をかけた。「ここのところ、香港便が増えましたね」「大将の作戦のようだ」大方、きな臭いロシア情勢を早読みしているのだろう。「仁川工場は大丈夫でしょうかね?」「どうだね」二人の会話は他のものには解らない。「大陸で、何か起こるんですかね?」「まあ、わしらにはかかわりのないことだ」「お前はいいわ、でもな」「心配か?」弟の一家が朝鮮に暮らしているという。それぞれわからぬままに、国の行く末を心配しているのである。「これに蒲鉾が入っていたら最高なんだがな」「かつ丼だったら、天国だよな」「なにを贅沢言ってるの。支配人の配慮なんだからね」「小腹を満たしたら、もうひと頑張りだよ」「この分なら、らちは早そうだ。みなのおかげだよ」すっかり責任者らしくなった辨三は地下足袋に、首には手拭いを巻いていた。「さ、そっち担いでくれや」と、梱包されたものを運び始めた。吉野の高見山の斜面で、材木を運んで鍛え上げた足腰だ、大阪暮らしでもボートを漕いでいたのだ。えふをかけながら、「無事で行ってくれよ」と荷物にあいさつする。「何しろ、玄界灘を越さねばならないから」と。今頃は、かねが子供たちにうどんを振る舞っているだろう。「うまいだろ、これは儀平のおごりなんだよ」と言っているに違いなかった。うまいうまいきつねうどんであったから。・・・・続く
2018,4,19(木曜日)
 
 
 
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