司法書士 島田雄三事務所
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島田雄三の思い
 
「激流に端座す」瀧川親子物語10
 中国人の訪問者の「殺風景だ」の一言は、すぐに実現された。門に入ったところに、二本の松が植えられた。マッチの軸木はポプラとか松である。照蔵は、「松はいい、いつも緑を茂らせているし、マッチの軸木にもなる」マッチの箱には、松に鶴と云うラベルもある。「マッチ会社も多いが、うちのように軸木の会社を持っているところはない」と自慢した。「軸木の会社?」「そうだよ。五年まえ、大将が樺太まで渡って、軸木会社を買ってきたんだ」樺太とはすごい。「マッチのために?」マッチつくりには、別段軸木の会社は必須ではないはずだ。しかるべきところから、買い入れればいいのだから。樺太と言えば、北の果てのさらに向こう。極寒の地というイメージだ。「単身乗り込んで、買ってきた」という。何と鮭を買うように聞こえた。「大将はお侍だ」自ら乗り込まないと、敵情は把握できないと。「敵情?」「そうだよ、まさに敵情査察さ。お国も違うしよ。深い雪の中、裸馬に乗って何日もかかって行ったのだよ」裸馬には、なかなか乗れるものではない。儀作には、馬にまたがり、雪中を行く辨三の姿が見えるようだった。勿論、自分の会社の為だけではない。安定した軸木の供給が、マッチ産業にはいるのだった。
この間の訪問者の一人は、呉錦堂さんというのだそうだ。「呉錦堂さんとは、いっぺんに親しくなったようだ」植木は、「あのお方は、知る人ぞ知る華僑だ。大人物同志は、すぐに分かり合えるようだ」マッチの会社は、日本国中に雨後の筍のようにあった。勿論離合集散を繰り返し、この神戸にも散在していた。「以前は、マッチの代名詞のように、粗悪と言われたものだ。だから、大将のようなお武家がやるものじゃなかった」それを、手塩にかけて育ててきた。大将は、自分の会社のことばかり考えてはいない。どうやら、支配人の植木も拾われたようだ。身体を壊し、マッチの工場を投げ出したところ、「俺のところへ来い」と、辨三が誘ってくれたという。つくづくと語り始めた。工場ごと買い取ってくれた。「地獄に仏だった」と述懐した。「梶田よ、大将がお前に会いたいと言ってたぞ」あのとき、すれ違いで、かねと仕事配りに行ったのだ。「いいえ、私は雑役だから」「いいや、大将はそんなやつが好きなんだよ。ほら、あの白も、大将が拾って来たんだよ」と門番を顧みた。辨三は、新しい企業に積極的に参画し、だけど、自分たちの周りにいるもろもろのことを決して忘れない。「大将は、勉強をなさっている。並のものじゃないぞ。イギリス語も中華語もできる。エレキのことも、よく知ってござる」次の時代がどうなるのか、しっかり見通しておられるという。神戸の居留地のイギリス商館で三年勤め、マッチ会社を興したのだという。その頃、われもわれもとマッチ会社が乱立していた。長州に帰って、家をたたんで帰神したという。まさに背水の陣を引いていた。貿易は自粛しようと、仲間に呼びかけた。下手に評判を落とすより、捲土重来を期し、国内需要に専念しようと。それでも、抜け駆けしようとするものは後を絶たない。つらいのは分かっていた。だけど、せめて神戸の業者は手をつなごう。直木政之助らも応じてくれた。今では、横浜を抜き、「マッチと言えば神戸」となったのだ。植木の言葉には力がこもっていた。秋も深まり、六甲おろしの風が神戸の街に吹き降ろしていた。・・・続く
2017,11,22(水曜日)
 
 
 
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