司法書士 島田雄三事務所
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島田雄三の思い
 
「双龍の賦」瀧川父子物語179
 高雄に上陸したが、これを一番楽しみにしていたのは柳田だった。それというのは、その地に台湾精糖の工場があり、そこを見学することになっていたからだ。鈴木商店は独自に製糖会社を立ち上げる意欲があって、そのことが災いし、見学が許されていなかった。しかし、実は台湾精糖の多くの製品は鈴木の手で、本土に運ばれていたのである。いわば鈴木は、お得意様のはずなのだが、分家が本家を虎視眈々と狙っていると警戒されていた。台湾精糖は三井のもので、工場長の藤原銀次郎はそう確信し、その警戒は、ある意味、的を射ていたのである。しかし、儀作一行の一員としての柳田であれば、奥深くを見せないわけにはいかなかった。しかも、野見山というか、新渡戸はある策を立てていたのである。これには、いくら藤原とは言えども、門戸を開かざるを得なかった。それは後藤新平の命ではなかった。少なくとも、へそ曲がりの藤原はそんな命が下れば、一歩たりとも入ることを許さなかったであろう。実は、その扉を開く秘策の男は高雄飯店に控えていた。すでに一週間ほど、芸者を揚げて豪遊していたのである。そばに絶世の美女を侍らかせて。そしてその男の存在は、青山をして驚天動地の驚きを与えたのである。しかも内田も少なからず驚いたのである。打田もその男の名前を聞くなり、「何、義太夫語りか?」と声を上げた。「おお、待ちくたびれたぞ」と髭ずらは、玄関まで出迎た。「これは、何のたくらみか」と打田は答えた。「いやいや、先生も御出ましたは、つゆ知らぬことです」と座り直して頭を下げた。「おお良平、久方ぶりだな」と剛毅な声だ。「これはこれは、おじきはどうしてまたここへ」「こいつだよ、平岡の甥だ」とそばのおなごに声をかけた。「ああ、内田良平様でございますか、わたくしは林きむ子でございます」と、そのうりざね顔は耀き、ただものではなかった。「どなたさまも、お見知りおきくださいませ」杉山の娘だと名乗ったのである。楚々として崩れ島田の髪を床寸前まで下げた。「どうした良平、足が震えておるぞ」その男は杉山茂丸という義太夫語りなのである。内田は畏まって頭を下げたままであった。そばで、先ほどからまるで石のように固まっているのは青山であった。「どうだ、娑婆の空気は?」と、男の視線は青山に移った。「はい、息災に暮らしております」声は小刻みに震えていた。「何と、死人が息災とはな」と、腹を抱えて笑いそうになったが、「いや結構結構、おぬしの出番はいよいよ迫っておるからな」と。青山は頭を上げず、なおうずくまっていた。「これは、これは瀧川様、舅御の辨三さまにはいろいろと厄介をかけております」と丁重な弁だ。そう言われて、はたと気付いたのである。頭山満と杉山茂丸はお神酒徳利であった。杉山の活躍は多方面にわたり、しかも朝鮮や清国にゆかりが深かった。しかも、アメリカやヨーロッパにも知己が多くいるという話であった。「これは、これは、杉山様でございますか、かねがね盛名は舅から聞いております」と畏まって返答した。「辨三殿が、わしのことを語ったと、それは本当かな?」と首を傾けた。「大方、大酒飲みの義太夫語りとでも聞いたのだろ」と打田が突っ込んだ。「いえ、医学、衛生にも造詣が深い大人物だと」「本当か?医学な?衛生な」と打田は首をかしげたが、なかなかその筋に太いパイプを築いていた。杉山がこの台湾にやって来た一番の目的は、まさにそのことだったのである。高雄にある医学専門学校を何とか無事に台北に移すために、一肌脱いでほしいと後藤新平に懇請されたからであった。それには金もいれば、知恵もいるのである。杉山は、ただ大酒を喰らいにここに来たのではなかったのだ。「まあ、固くろしい話は後にしよう。まずは、陽気にやろうではないか」と太閤記一〇段目を語り始めた。きむ子は太三味線で、あいの手を入れた。『なるほど、これは本物だ』儀作も子供の時から十八番にしている光秀親子の物語だった。それにしてもこの二人、本当の父子なのかな?何とも面白い取り合わせではないか。・・・・続く
2018,1,17(木曜日)
 
 
 
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